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アルツハイマー病予防点鼻薬?既に安全性が確認された2つの有効成分により実現へ~

2021年12月24日掲載

研究?産学

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この研究発表は下記のメディアで紹介されました。
◆2022/1/10? ?Lab BRAINS
◆? ? ? ? ?1/12 Science Portal、Yahoo!ニュース、マイナビニュース
◆? ? ? ? ?1/19? ?テレビ大阪「やさしいニュース」、健達ねっと

本研究のポイント

◇認知機能改善の効果はあるが、肝障害の副作用もあったリファンピシン(既存薬)を経鼻投与にすることで脳への移行性が高まり、より安全に投与が可能に。
◇リファンピシンとレスベラトロール(同じく既存薬)を併用して経鼻投与することで、リファンピシン単剤よりも安全性、認知機能改善作用が向上。
◇今後はリファンピシンとレスベラトロール合剤点鼻薬の開発に期待。

概要

 大阪市立大学大学院医学研究科認知症病態学の富山(とみやま) 貴美(たかみ)研究教授、梅田(うめだ) 知宙(ともひろ)特任講師らの研究グループは、リファンピシンとレスベラトロールを併用して経鼻投与することで、リファンピシン単剤を投与した時よりも安全性と認知機能の改善作用が高く、傷んだ神経を修復するというリファンピシン単剤では見られなかった効果があることを明らかにしました。今後、安全で有効な認知症の予防点鼻薬の開発へとつながる研究成果として期待されます。
 リファンピシンは、結核やハンセン病などの治療に使われてきた抗生物質で、ジェネリック医薬品として安価に供給されています。レスベラトロールは天然のポリフェノールで、欧米では抗酸化サプリメントとして使われている安全性の高い物質です。認知症は、アミロイドβやタウと呼ばれるタンパク質が脳内で蓄積し、オリゴマーという状態となることで発症すると考えられています。
 本研究グループは以前、リファンピシンがオリゴマーを脳から除去し認知機能の改善作用があることを、モデルマウスを用いた研究で明らかにしました。しかし、リファンピシンには肝障害などの副作用があるなどの課題がありました。
 今回、本研究グループは、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、レビー小体型認知症のモデルマウスにリファンピシンとレスベラトロールの合剤を週5日間、計4週間にわたり経鼻投与して、マウスの認知機能と脳の病理を観察しました。その結果、この合剤はマウスの認知機能を有意に向上させ、オリゴマーの蓄積を抑制し、海馬のシナプトフィジンレベルを回復させました。通常はリファンピシン投与で増加する肝障害マーカーである肝酵素の血中レベルも合剤投与では正常に保たれ、リファンピシン単剤では見られなかった脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現レベルも増加させるなど傷んだ神経細胞の修復も期待されます。これらの結果は、安全性と有効性の両面で、この合剤がリファンピシン単剤よりも優れていることを示しています。
 本研究成果は、2021年12月13日にスイスの科学誌「Frontiers in Neuroscience」(IF = 4.677)のオンライン版に掲載されました。

研究者からのコメント


富山 貴美研究教授

これまで認知症予防薬の研究を進めてきましたが、ようやく臨床試験に使える薬(既存医薬品の組み合わせと投与法)を開発することができました。これから資金調達を成功させて、治験に進みたいと考えています。

掲載誌情報

雑誌名:

Frontiers in Neuroscience(IF = 4.677)

論文名:

Oligomer-targeting prevention of neurodegenerative dementia by intranasal rifampicin and resveratrol combination – a preclinical study in model mice

著者:

Tomohiro Umeda1, Ayumi Sakai1, Keiko Shigemori1, Ayumi Yokota1, Toru Kumagai2, and Takami Tomiyama1,2

1Department of Translational Neuroscience, Osaka City University Graduate School of Medicine, Osaka, Japan. 2Medilabo RFP, Inc., Kyoto, Japan

掲載URL:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fnins.2021.763476/full

特許情報

 この研究で開発されたリファンピシン+レスベラトロール合剤点鼻薬に関する技術は特許出願されています(PCT/JP2018/025512, PCT/JP2019/000278)。